「翻訳祭」に初めて参加してきた。JTF日本翻訳連盟が主催している年次イベントだそうで。

今年は『ダメ女たちの料理教室』(4刷!!)を世に送り出したタッグ「翻訳家・村井理子さん ✕ 編集者・伊皿子りり子さん」の出版翻訳セッションがあり、ぜひとも聞きたかったので参加を決めた。

せっかくならと会場には朝イチで出向き、お目当ての ↑ セッション以外はその場で決めるノリでまわったんだけど(常に7セッションが同時進行してる)、人気の講演には開場前から長蛇の列、会場に入りきれないほどの聴衆で、さっすが東京!翻訳に関わってる人こんなにいるんだって、普段、在宅で働いてると感じにくい同業者の存在や業界パワーなるものを感じられたのも今回の収獲。

私が参加したセッションのQ&Aコーナーから推測するに、聴衆にはこの道目指してこれから勉強始めようとしてる人、駆け出しで実績はあまりないって人から、キャリア10〜20年選手まで幅広くいらっしゃった模様。そのなかで、フリーランス歴5年、実務翻訳は国内・海外クライアントとの取引含めいろいろやらせてもらってて、今年は 初めて出版社とのお仕事も経験でき、通訳もクリエイティブ系のトークショーなどで現場経験を踏ませてもらってる私は、ひよっこでもベテランでもない、ちょうどそのあいだくらいだった、のかな。

それだけに、かつての私のように「あこがれ」ばかりではなく、仕事選び・交渉・日々のパフォーマンスアップなど、なんとなくこんなものかと思ってやってるけど…ってことについて、登壇された諸先輩方からどストレートな意見を聞くことができたので、とてもありがたかった。丸1日コースを終えぐったりのはずが、会場を去る頃には妙なヤル気と爽快感でみなぎってたんだから。

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私が参加したのは…

まず「フリーランスだから考えたいお金のこと」。大事な大事なお金のこと、フリーランスだからこそ使える制度なんかをFPの方から教えていただいた。恥ずかしいかな、いまだ法人化手続きを踏んでいないので、すぐさまやろうと心に誓った次第。

「ミニ講演会 10分1本勝負!」では、複数の翻訳エージェントによる使える翻訳者・通訳者論。エージェント目線でフリーランスの私たちがどう見え、どんな人に仕事をアサインしたくなるかという具体的な話。とてもリアルで大事な話し。

講演リレーは途中で退座し、50才から通訳の勉強を始め、会議通訳者として活躍されてる白倉淳一さんの講演へ。通訳者としての覚悟と自信がみなぎっていて、パワフルなことばがたくさん聞けた。おまけにQ&Aでは、こういう場ではどしどし質問した方がいいですよ、僕なんていつも手を挙げてから質問考えてますよと発破をかけてくださったので、ならばと、エージェントを通さない直契約仕事について質問してみたら、ポジティブなアドバイスをくださった上に、ぜひ午後からの関根マイクさんの講演を聞いて彼の考えを取り入れたらいいですよとオススメくださった。なので、「出版翻訳セッション」を終えてからは、関根マイクさんの「うわっ・・・私の年収、低すぎ・・・?』にならないための営業戦略」へ。

実におもしろかった!

要は、目先の仕事に忙しがってるばかりではなく、10年後20年後にもお声がかかる翻訳(通訳)者であるためにどうしていくべきかという戦略のお話し。技術の勉強ばかりでなく、プロとしてありたい姿を「研究」しなよと。なんだかガツンと目を覚ませられた感じ。個人的には仕事のツキきてる?!って思える大変忙しい1年だったし、フリー1年目よりは諸々をずっとコントロールできてはいるけど、まだまだもっとできることあるなと。新年に向けて、自分戦略会議でもやるかな。(この講座をオススメしてくださった白倉さん、ありがとうございます。質問してみたおかげです!)

そしてそして「出版翻訳」セッション。村井理子さんのホントのところの話しとりり子さんのご健在な大阪弁での掛け合いは、『ダメ女…』に負けず劣らずの、おもしろノンフィクションの読後感みたいなのを味わえた講演で、現実的な話しも広がる夢の話しも、翻訳で「出版」にもっとどっぷり関わっていきたい私には、何をしていくべきかがよりクリアになったし、業界を活性化するためにもどんどん新しい人に入ってきてほしいなど、ただただ鼓舞されました。そして、あの場にいた多くの人がそうだったように、文章を、日常の雑記をもっと書きたいと私も思ってる。特に今年は淀みきってたこのブログを活性化させよ。

そして、翻訳祭後から、私の仕事生活を革命的に変えてることがある。

きっかけは理子さんの「私の集中力はもって15分」ってお話。翻訳家&文筆家としてものすごいアウトプット出されてる方が15分おきに席を立ってる、とな。これを逆手に取り(?!)、私も仕事スパンを15分ほどで区切り、あいだで別の作業を挟むようにしてみてる。私の場合は料理よりもギターをつま弾くのがいちばん多いパターンだけど、何か仕事と関係しない調べ物をひとつするとかブログをちょっと書き進めるとか、やりたいと思ってることを細切れにして差し込むイメージ。これがすごく調子が良い! 今までは納品が終わったら…と後回しにしてたことたちが、少しずつ同時に進むから、To Doリストもみるみる片付いていく。たとえ仕事がノッていようとも、あえて一時中断してみたり、試行錯誤ちゅうではありますが。

出版となると翻訳ボリュームも大きいし、長期戦に耐えうるこころとからだの健康が本当に大切と口酸っぱくおっしゃってたけど、このやり方でここ2週間くらいえらく調子がいいので、これからの自分に期待してる。

JTF翻訳祭。参加するセッションや自分のキャリアタイミングによって吸収できることに幅がありそうだけど、私は自分の今のタイミングで参加できて本当によかった。さっすが東京だなー!と思ったら、来年は京都で開催なんですね。